飢餓からのリフィーディング(再摂食)では、小腸絨毛と腸管バリアに注意

飢餓からのリフィーディング(再摂食)では、小腸絨毛と腸管バリアに注意

絶食からの再摂食では、リフィーディング症候群と呼ばれる栄養障害が起こることがあります。有名なのが兵糧攻め後のリフィーディングによる悲惨な事件です。

兵糧攻めで生還したものの粥を食べて急死した兵士

豊臣秀吉は城攻めを得意とし、特に兵糧攻めをいくつも仕掛けました。
有名なのは鳥取城、三木城の兵糧攻めです。鳥取城では開城後に空腹の兵士らに大釜で粥を焚いて振る舞ったそうです。空腹のあまり急いで食べた多くの兵士が次々と死んだという記録が残っているそうです。
これは極度の飢餓状態からの急な栄養摂取によっておこる現象(リフィーディング症候群)と考えられています。
リフィーディング症候群については血中のリン濃度低下等による栄養障害説がありますが、兵糧攻めの場合は短時間で絶命する様子が伝えられており、ショックによる死ではないかと考えられます。
(Chenら1)は、11例のリフィーディング症候群について分析し、インスリン分泌によってグルコースだけでなく、水、カリウム、マグネシウム、リン酸塩の細胞内輸送を活性化したと結論しています。)

腸管を使わないと小腸絨毛が委縮して栄養障害を起こす

小腸粘膜細胞の更新周期は2~3日です。絶食期間が長くなると、小腸絨毛はほとんど委縮してしまい、腸のバリア機能も破綻することが知られています。
小腸絨毛は腸管を流れる糖やアミノ酸の刺激によって萎縮と回復を繰り返します。また大腸で産生される短鎖脂肪酸もシグナルとなって小腸絨毛の萎縮と回復に関与することがわかってきました。
手術などで絶食した後のリフィーディングでは、インスリンが過剰に分泌されて血糖値の急降下が起こることがあります。いわゆるダンピング症候群です。
小腸絨毛が委縮していると、消化吸収が不完全になるので、小腸内に存在するグルコース量に対して血中のグルコース量が相対的に少ない可能性があり、必要以上にインクレチンが分泌されて血糖値を下げてしまう可能性があります。
飢餓状態からの復帰では、「リフィーディングショック」を起こさない対策が必要です。

腸管バリアの破綻で起こるバクテリアルトランスロケーション

絶食による腸管への別の影響としてはバクテリアルトランスロケーション(BT)があります。バクテリアルトランスロケーションは腸のバリア機能が破綻して、腸管内の細菌や毒素などが体内に侵入する現象です。
低栄養からの回復を目指して高カロリーの流動食を与えると、バクテリアルトランスロケーションによって下痢が長引き、さらには肝機能障害を起こすことが考えられます。
例えば糖質の投与が多すぎると浸透圧性の下痢を起こし、乳酸菌等の過活動によって乳酸等の蓄積による下痢に移行するかもしれませんし、高脂肪食は腸内細菌の回復を阻害してしまいます。どの栄養成分にしても腸管から未分解のまま体内に侵入したものは毒物です。
重度のバクテリアルトランスロケーションではショック状態に陥る可能性も考えられます。腸管内の細菌や毒素が体内に侵入することによって、サイトカインストームを引き起こし、多臓器不全に至るという流れです。

下痢症状からの回復策

絶食による下痢は、小腸絨毛の萎縮とバリア機能の破綻が原因と考えられます。
リフィーディングにあたって、糞便のpHが判断の基準になります。アルカリ性の場合は腸内が腐敗状態にあり、硫化水素等の腐敗産物の臭いがします。
酸性の場合には、乳酸やコハク酸が蓄積して過発酵の状態になっています。腸内発酵は乳酸菌やビフィズス菌が糖質を原料にして乳酸や酢酸をつくり、腸管内を酸性にして腐敗産物の産生を抑えます。
酢酸は速やかに腸管から吸収されますが、乳酸の吸収速度は遅くて、長く腸管内にとどまります。したがって腸管内のpHは事実上、乳酸の量によって制御されています。
腸内には乳酸などを使って短鎖脂肪酸をつくる細菌グループがあり、これらを活性化することで乳酸が使われて酪酸等の短鎖脂肪酸がつくられます。
短鎖脂肪酸は速やかに腸管から吸収されて下痢が解消し、小腸絨毛や腸管のバリア機能が回復します。

重度の絶食状態からの最初の一歩

リフィーディングにあたって、考えなければならないのは抗菌薬を投与するかどうかという問題です。
軽度の感染性胃腸炎に対しては腸内細菌をかく乱しないために、抗生剤の使用は控えた方が治りが速いという報告があります。
カンピロバクター腸炎は腹痛が強くて下痢症状を呈しやすく、非常に少ない菌数で発症するのが特徴です。
マクロライド系抗生剤が有効ですが、ペットには常在菌として腸内にカンピロバクターがいます。
プロバイオティクスによって腸管内pHを弱酸性にシフトすることで、カンピロバクターによる毒素産生を低減することができますので、むやみに抗生剤を使ない方が平常への復帰が早くなると考えられます。

ライラック乳酸菌による腸内環境のコントロール

ライラック乳酸菌は栄養培地を含むオカラ微粒子に固着させる独自の技術(オカラカプセル)によって、近位から遠位までの腸内環境をコントロールすることができます。
オカラカプセルによって腸管内での発芽率は3倍以上(動物試験)に向上します。またオカラに固着した栄養を利用することによって、大量の乳酸を生成します。
乳酸はほとんど腸管から吸収されないので、長時間腸管内にとどまって腸内pHを低く保ちます。
さらにオカラカプセルに固着した栄養培地は、乳酸を利用して短鎖脂肪酸をつくる腸内細菌を活性化しますので、下痢を解消して早期の腸管機能回復を果たします。

リフィーディングにはライラック乳酸菌

このようにライラック乳酸菌は腸内環境を整えて、多くの善玉菌が活躍できる環境をつくります。
短鎖脂肪酸とは、酢酸、プロピオン酸、酪酸のことを指し、その中でも酪酸は大腸粘膜のエネルギーとして粘膜細胞の増殖や蠕動運動のエネルギーとして使われます。
ライラック乳酸菌はオカラ微粒子を増殖のベースとしていますので、バクテリアルトランスロケーションの危険性が少なくなっています。絶食状態からの最初の一手としておすすめします。

(文献)
1)Li-Ju Chen et al., World J Gastroenterol. 2014 Aug 14; 20(30): 10525–10530.

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