ネコの腸内フローラを改善する腸内細菌のエサ成分と療養食の比較(おすすめの便秘、下痢用フード)

ネコの腸内フローラを改善する腸内細菌のエサ成分と療養食の比較(おすすめの便秘、下痢用フード)
目次

(1)はじめに

 お客様から、下痢と便秘を繰り返すネコの療養食(ドライ)のご相談を受けましたので、各社のネコの療法食(ドライ)に含まれている腸内フローラをよくする「腸内細菌のエサ成分」をロイヤルカナンの4製品とヒルズの1製品(製品名がなんと腸内細菌叢)の計の5製品の療法食で比較しました。

https://www.royalcanin.com/jp/cats/products/vet-products
https://www.hills.co.jp/products/cat-food#dry

(2)各社製品と原材料とそれに含まれる成分

①原料の成分について

 検索した2020年9月11日現在の詳しい原料は下の方に載せました。比較の表を作成するにあたって、原料の成分について説明します。

*ロイヤルカナンの製品に含まれている植物性繊維が何かがわからないのですが、動物実験の食物繊維としてセルロースが使用されるので、セルロース(不溶性食物繊維)と仮定しました。

*加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)は、消化されにくいオリゴ糖で酵母の細胞壁に含まれている※1ということなのでオリゴ糖(水溶性食物繊維)にしました。

*ビートパルプは、ビート(サトウダイコン)から砂糖を抽出した後に残った繊維状の原料で、①炭水化物が多く,かつペクチン,へミセルロース,セルロースがほぼ均等に含まれている、②ペクチンは天然の飼料原料の中で最も多い、③リグニンが少なく,消化性が高い等の特徴がある原料です※2。
(ペクチン:水溶性食物繊維、ヘミセルロース、セルロース、リグニン:不溶性食物繊維)

*チコリは、ロイヤルカナンのページにチコリパルプについて書いてありましたので、チコリパルプとしました※3。 ビートパルプと同様に不溶性食物繊維(セルロース等)と水溶性食物繊維(イヌリン)が含まれています。イヌリンはフラクトースの重合体(果糖でできたデンプンみたいなもの)で、動物の消化酵素で消化できずに大腸まで届くため、水溶性食物繊維に分類されます。もしチコリがチコリの塊茎から抽出されたイヌリンの意味でしたら、不溶性食物繊維は含まれず、水溶性食物繊維のみになります。

*サイリウムは、オオバコの種に含まれている「水溶性の腸内細菌のエサにはならない非発酵性の水溶性食物繊維」です。腸内細菌のエサにならないので、短鎖脂肪酸はできず、腸内を酸性化して、腸内フローラを整えることことはできません。しかし水を吸収して膨らむことによって、糞中の水分量を増加させ糞のかさが増え、さらに適度に柔らかくなり排泄を促進します。下痢の場合も余分な水分を吸水するので、糞の形を保つことができます。ということで下痢でも便秘でもどちらでもOKな原料です。

*フラクトオリゴ糖は、一番有名なオリゴ糖です。動物の消化酵素で分解されずに大腸まで届くので、水溶性食物繊維に分類されます。ビフィズス菌等を増やしますが、実はビフィズス菌だけが分解するオリゴ糖ではないので、多く食べ過ぎると、オナラやSIBO(小腸内細菌異常増殖症)の原因になる場合もあります。一般人向けに書いたオリゴ糖の話:
https://arterio.co.jp/2016/03/25/oligo/
https://arterio.co.jp/2020/05/25/oligo2/

②これらの原料を栄養学的に分類すると

<不溶性食物繊維>植物性繊維(セルロース)、ビートパルプ(のうちのセルロース等)、チコリパルプ(のうちのセルロース等)、ピーカンナッツ殻パウダー(ヒルズ)

<水溶性食物繊維>フラクトオリゴ糖、サイリウム、チコリパルプ(のうちのイヌリン)、ビートパルプ(のうちのペクチン等)、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)

になります。

③糞と不溶性食物繊維・水溶性食物繊維の関係

*不溶性食物繊維は、糞の嵩(量)を増やし、腸の蠕動運動を促進しますが、多すぎると、便秘になります。

*水溶性食物繊維(サイリウムを除く)は、腸内細菌のエサになり、乳酸や短鎖脂肪酸の原料になります。乳酸は強い酸で腸内環境を整えたり、短鎖脂肪酸の原料になります。短鎖脂肪酸は、腸内細菌がつくる有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)で、腸内環境を酸性にして善玉菌が増えやすい環境を作るだけではなく、腸の細胞のエネルギーになったり、腸の蠕動運動を促進したり、糞の水分量を増やし糞のかさ(量)を増やして排泄を促進します。

一般人向けに書いた短鎖脂肪酸の話(たくさんあるので一部)https://arterio.co.jp/2017/08/03/scfa/
動画もあります。 https://youtu.be/WEaP-xQK8Zs

しかし、水溶性食物繊維は、オリゴ糖だけではありません。

(3)腸内細菌のエサになるか?ならないか?が効果の差を生む

 小腸で分解させずに大腸まで届く難消化性物質は、腸内細菌のエサになって発酵できるかできないか、つまり発酵して短鎖脂肪酸ができるかできないかで、便秘や下痢に対する効果が異なります。

 腸内細菌のエサになるかならないかの観点から考えると、腸まで届く難消化性デンプン(レジスタントスターチ)が含まれている米、コーンスターチ、トウモロコシなどの炭水化物は、ネコやイヌにいる腸内細菌のエサになり短鎖脂肪酸ができますので(詳しくはこちら(次の原稿))、下記の表にいれました。

 炭水化物については、ペット栄養学会誌の総説にも「腸内細菌の重要なエネルギー源は炭水化物である。犬猫用の市販飼料においても、デンプンは重要な炭水化物であり、腸内細菌にとって利用しやすい重要なエネルギー源である。」と書いてありました※4

 ネコやイヌが健康で長寿になったのは、衛生環境もよくなったのもありますが、ねこまんまや缶詰だけではなく、ドライフードを食べさせるようになって腸内フローラがよくなったことも考えられます。さらに、ドライフードは乾燥しているので、トウモロコシや大豆に含まれている難消化性デンプンも「より難消化」になっているために、多くの量が大腸に届き、腸内細菌のエサになっています。

(4)各社のドライフードに含まれている成分の比較

表のAの成分の腸内細菌のエサになる発酵性の原料

短鎖脂肪酸ができます。腸内環境や腸内フローラを整えるにはとても大切な成分です。

表のBの成分の腸内細菌のエサにならない非発酵性の原料

 短鎖脂肪酸はできず、糞のかさ(量)を増やします。多すぎるとかえって便秘になるので、Aの成分とのバランスが大事です。

表のCの成分のサイリウム

 腸内細菌のエサにならない非発酵性の原料(短鎖脂肪酸はできない)のうちのサイリウムは、吸水することにより、糞のかさ(量)を増やしたり、形を整える少し変わった原料です。サイリウムは吸水して糞のかさを整えるので、カチカチの糞にはなりにくいのですが、水がない場合はBの不溶性食物繊維と同じことになり、ネコの場合水をあまり飲まないので、この辺のバランスもメーカーさんが研究されているのだと思います。

メーカー ロイヤルカナン ロイヤルカナン ロイヤルカナン ロイヤルカナン ヒルズ
製品名 ①消化器サポート ②消化器サポート 可溶性繊維 ③アミノペプチド フォーミュラ  ④低分子プロテイン ⑤腸内バイオーム
用途    消化器疾患のネコのために 便秘の猫のために 食物アレルギーによる皮膚症状・消化器症状を呈する猫のために 食物アレルギーによる皮膚症状・消化器症状を呈する猫のために

A:腸内細菌のエサになる原料(発酵性)

(短鎖脂肪酸ができる)

米、ビートパルプのうちの一部、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源) 米、チコリのうちの一部、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)   コーンスターチ、チコリのうちの一部、フラクトオリゴ糖 米、ビートパルプのうちの一部、フラクトオリゴ糖  米、トウモロコシ、小麦、ビートパルプのうちの一部、大麦、オート麦、カボチャ、フラクトオリゴ糖
B:腸内細菌のエサにならず(非発酵性)、糞のかさになる原料

(短鎖脂肪酸はできない)
植物性繊維、ビートパルプのうちの一部  チコリのうちの一部 植物性繊維、チコリのうちの一部 植物性繊維、ビートパルプのうちの一部 ピーカンナッツ殻パウダー、セルロース、ビートパルプのうちの一部
C:腸内細菌のエサにならず(非発酵性)、吸水し、糞のかさになる原料

(短鎖脂肪酸はできない)  
サイリウム サイリウム サイリウム

(5)リラ子が勝手におすすめ

 腸内細菌のエサの視点から、症状別にお勧めを書いてみました。

※アレルギーのある便秘のネコ

 ③アミノペプチド フォーミュラが適しています。成分をみると、腸まで届く難消化性タンパク質が少なく、④より腸内が酸性になり、糞が柔らかくなると考えました。

※アレルギーのある下痢のネコ

 ④低分子プロテインが適しています。③より米やビートパルプに含まれている難消化性タンパク質が多く、③よりも腸内がアルカリ性になりやすいからです。アレルギーの下痢の場合は、アレルゲンを減らせば治る場合も多いですが、乳酸やコハク酸のように吸収されない酸が腸内でできていた場合は、難消化性デンプンのほうを減らさないと、腸内フローラが正常化しません。

※便秘のネコ

 腸内細菌のエサになる成分の割合が多い②消化器サポート 可溶性繊維が、お勧めです。(便秘用にメーカーがつくっているので当たり前ですが(^^;))。ビートパルプではなくチコリを配合していて、難消化性デンプンが含まれている米の配合割合も①よりも②が多いことも理由です。

※下痢のネコ

 まずは①消化器サポートがいいと思います。チコリ(イヌリン)よりビートパルプの方が、穏やかな発酵で、酪酸ができやすく、腸の細胞のエネルギー源には優れています。また難消化性タンパク質もビートパルプの方が多く、過度の酸性になって下痢になっている場合にも適しています。慢性下痢による酪酸不足が原因の慢性炎症も防ぐことができます。

※便秘や下痢を繰り返すネコ

 ①と②を下痢と便秘に合わせて使うのがベストだと思いますが、どちらか一方を兼用ならば、糞が黄色い場合の下痢と便秘を繰り返す場合は①、糞が黒い場合の下痢と便秘を繰り返す場合は②です。黄色い下痢の場合は乳酸やコハク酸が過度にたまることによって下痢になっていますので、①の方が適しています。逆に黒い下痢の場合は、酸性に傾き過ぎていないので、②でも適しています。腸内フローラが整うと、下痢も便秘も治り、いい糞になります。

※ヒルズの⑤腸内バイオーム

 そのものずばり腸内細菌叢という商品名で、便秘でも下痢でもどちらでもよく、普段からも腸内フローラを整えるのに使用してもいいと思いました。商品のレビューには下痢が治ったとありましたが、難消化性デンプンを含む原料とフラクトオリゴ糖も含まれているので、便秘にも適しています。

(6)ライラック乳酸菌について

 ライラック乳酸菌は2つの特許技術からできています。ライラックの花から単離した有胞子性乳酸菌の株の特許(Bacillus coagulans lilac-01、第5006986号)と腸の奥まで菌と菌の栄養を届ける通称オカラカプセルの特許(第6306170)です。(受賞リスト※5

 有胞子性乳酸菌は芽胞をつくる乳酸菌で、芽胞のために、胃酸や胆汁酸に強くほぼ100%が大腸まで届きます。以下の写真がlilac-01株の顕微鏡写真で、光っている部分が芽胞の部分です。

 下の写真は動物実験(ラット)にライラック乳酸菌を投与したときの盲腸と盲腸内容物です。ラットの発酵部位はヒトと異なり盲腸になります。黄色い粒がオカラカプセルに包まれたライラック乳酸菌の菌末です。この粒の中には、芽胞の状態のlilac-01株と発芽して栄養細胞になっているlilac-01株が含まれていました。

 

この盲腸内容物を分析したところ、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、短鎖脂肪酸の合計)が有意にふえていました(グラフ左)。またビフィズス菌が有意に増加して、大腸菌が減少していました(グラフ右)※6。

 

ヒトで臨床試験※7を行った結果、2週間で、プラセボ対照と比較して、便の状態(便の量、形、(臭いは1週間))と便通(回数、残便感)を有意に改善し、便の色は改善傾向がありましたので、届出表示を「本品には、生きた有胞子性乳酸菌 (Bacillus coagulans) lilac-01が含まれています。 便秘傾向の方の便の状態(便の色、臭い、量、形)を整え、お通じ(回数、残便感)を改善することが報告されています。」として、機能性食品でも販売しており(B409, B 582)、消費者庁に届けている作用機序を補足説明に載せています※8

 ペット用は一般消費者向けと動物病院専売品があります。便秘のネコに与えて、真っ黒いコロコロの糞が、黄色く(酸性)なりバナナ状になったことも確認しています(写真載せても大丈夫でしょうか?(^^;))。保護猫団体さんにもお使いいただいていて、カンピロバクター(らせん菌)等が原因で下痢のネコでも、ライラック乳酸菌は抗生物質のように原因菌だけでなく善玉菌も殺さないので、下痢や体調や食欲の立ち直りが早いと喜ばれています。その他コメントと一般消費者向けのネットショップのページは以下になります。
https://www.ec.arterio.co.jp/pet
スタンダード https://www.ec.arterio.co.jp/category/item_detail/PP0002
オリゴプラス https://www.ec.arterio.co.jp/category/item_detail/PP0004

(7)糞の状態が悪いと全身の慢性炎症から万病になる

 糞の状態は腸内フローラの状態を示します。便秘や下痢は腸内フローラのバランスが乱れている状態です。この腸内フローラのバランスが乱れることにより、全身の慢性炎症が引き起こされ、様々な病気になることがヒトでわかってきました。(腸内フローラのバランスの乱れ=ディスバイオシス(dysbiosis))

大野博司. 腸内フローラの健康と病気への関わり. 亜鉛栄養治療. 2018;8:50-57.

腸の病気だけでなく、全身の病気、免疫(アレルギー、自己免疫疾患)、代謝(肥満、糖尿病、脂肪肝、動脈硬化)、神経(多発性硬化症、自閉症、うつ、パーキンソン病、ALS)など様々な病気と腸内フローラとの関係が報告されています※9

 これらは、ヒトの病気ですが、腸内細菌は宿主の動物と共生しているため、腸内フローラのバランスが宿主に与える影響(腸内細菌がつくる「短鎖脂肪酸」の不足と「腐敗物質」の増加)は、ヒトもネコもイヌも変わらないはずです。友人のネコは、慢性下痢で、そのうち糖尿病になってインシュリンを打っていました。論文検索サイトのpubmedで「dysbiosis+cat」を検索したら、論文がでてきましたので、いずれ専門家向けに詳しく書きます。今のところ一般人向けの記事はこちらです(続き物なので①のみ)。https://arterio.co.jp/2019/06/12/dysbiosis/

(8)ライラック乳酸菌を併用する場合の使用方法

 オカラを配合していますので、大豆アレルギーのネコに与えることはできません。
 ライラック乳酸菌の投与量は、体重1キロあたり、マドラースプーン1杯(0.1 g)です。体重分をドライフードに混ぜるか、ウエット(缶詰やチュール等)に混ぜてから与えて、ウンチを観察してください。ライラック乳酸菌の量は多少多くても大丈夫です。糞をみながら、量を加減してください。

 ペット用の製品は2種類あります。オリゴ糖が含まれていない「スタンダード」とオリゴ糖が含まれている「オリゴプラス」です。まずは「スタンダード」でお試しいただいて、便秘の場合で、効果があまり見られない場合は、「オリゴプラス」に変更することをお勧めしています。ネコのドライフードにはタンパク質が多く、ネコの腸内がアルカリ性に偏っているため、短鎖脂肪酸を作らせる成分のオリゴ糖が入っているほうが適しています。

(9)補足情報

A ※の情報

※1:加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)

https://www.royalcanin.co.jp/dictionary/nutrients/mos 

※2:ビートパルプ 

絞り方によると思うのですが、論文には、糖:10-15%、ペクチン:22%、ヘミセルロース:23%、セルロース22%、リグニン:2%以下とありました。
田中, てん菜製糖副産物(ビートパルプ)の高度利用. 日本畜産学会北海道支部会報, 32, 13-22, 1990.
https://hlgs.jp/archive/hbjszs_32-2-02.pdf

※3:ビートパルプとチコリパルプ

以下がリンク先です。https://www.royalcanin.co.jp/dictionary/nutrients/%e3%83%93%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%91%e3%83%ab%e3%83%97

※4:総説

日野 , 浅沼: イヌ・ネコの腸内細菌と健康, ペット栄養学会誌, 139-152, 7 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/7/3/7_139/_pdf

※5:受賞リスト

平成28年度北海道地方発明表彰 特許庁長官賞、第7回「ものづくり日本大賞 ものづくり地域貢献賞」


※6:参考文献

技術情報協会編, 便通・便性改善効果のあるライラック乳酸菌の開発, 腸内細菌叢を標的にした医薬品と保健機能食品の開発, 技術情報協会, 421-429, 2018. https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/029292822.html

※7:論文等

・便通・便性改善作用に関する臨床試験についての概要
 https://arterio.co.jp/business-content/clinical-trial/

・臨床試験の論文
 Minamida, K., Nishimura, M., Miwa, K., and Nishihira, J.: Effects of  dietary fiber with Bacillus coagulans lilac-01 on bowel movement and fecal properties of healthy volunteers with a tendency for constipation. Biosci. Biotechnol. Biochem., 79, 300-306 (2015). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25338680

※8:ライラック乳酸菌の作用機序

 当該製品の機能性関与成分である有胞子性乳酸菌 (Bacillus coagulans) lilac-01は、Bacillus coagulansのうちの一株です。Bacillus coagulansは、通性嫌気性細菌のため*1、嫌気状態では乳酸発酵を行い*2、プロバイオティクスとして世界中で利用されています*3。
一般的に乳酸菌は腸内で乳酸を生成し、乳酸には糞便水分量を増加させる作用があります*4。そのため、便が軟らかくなり、排便しやすくなり、排便回数が増加し、残便感が減少して、便秘症状が軽減します。さらに、乳酸による糞便pHの低下のために (便の色は黄色く変化する)、臭いをつくる細菌数が減少し、臭いが減少します*5。腸管の蠕動運動を促進させることも報告されています*6。また、便の形は便の水分含量を表し、腸内細菌叢のバランスが正常化すると、便の形が整うと考えられています*5。
有胞子性乳酸菌 (Bacillus coagulans) lilac-01を投与した動物実験 (WKAH/HkmSlcラット, 5週齢雄, n=8, 2週間) では、有意に、短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)が増加し、盲腸内pHが低下しました*7。短鎖脂肪酸は、腸内細菌がつくる有機酸で、腸の蠕動運動を促進すること*6と便重量や便の移動時間と相関すること*8が報告されています。
以上のように、有胞子性乳酸菌 (Bacillus coagulans) lilac-01により、便通・便性が改善すると考えられます。

*1 Logan NA & De Vos P. (2009) Genus Bacillus, In De Vos P, Garrity GM, Jones D, Krieg NR, Ludwig W, Rainey FA, Schleifer K & Whitman WB (eds), Bergey’s manual of systematic bacteriology, 2nd edition, vol. 3. Springer, pp.21-128.
*2 中山大樹, 有胞子性乳酸菌, 乳酸菌の研究, 北原覚雄編, 東京大学出版会, pp. 73-80 (1966).
*3 Endres JR, Clewell A, Jade KA, Farber T, Hauswirth J, Schauss AG. Safety assessment of a proprietary preparation of a novel probiotic, Bacillus coagulans, as a food ingredient. Food Chem. Toxicol. 2009;47:1231-1238.
*4 Etheridge RD, Seerley RW, Huber TL. The effect of diet on fecal moisture, osmolarity of fecal extracts, products of bacterial fermentation and loss of minerals in feces of weaned pigs. J. Anim. Sci. 1984;58:1403-1411.
*5 藤澤倫彦 他, プロバイオティクスの整腸作用, 乳酸菌とビフィズス菌のサイエンス, 日本乳酸菌学会編, 京都大学学術出版会, pp. 499-500 (2010).
*6 Yokokura T, Yajima T, Hashimoto S. Effect of organic acid on gastrointestinal motility of rat in vitro. Life Sci. 1977;21:59-62.
*7 Yeonmi_Lee. Improvement of bile acid-induced disorders by synbiotics. Hokkaido University, 2016, PhD thesis.
*8 Høverstad T, Bjørneklett A. Short-chain fatty acids and bowel functions in man. Scand. J. Gastroenterol. 1984;19:1059-1065.

※9:論文

大野, 亜鉛栄養治療, 8 , 50-57, 2018. https://kenkyuukai.m3.com/journal/FilePreview_Journal.asp?path=sys%5Cjournal%5C20180601134900-C56838A4AD2160C7D21A221798181A26BAC6AC0B1E5EF863%2Epdf&sid=738&id=1&sub_id=44655&cid=471

B 各社の製品情報

①ロイヤルカナン 消化器サポートドライ(消化器疾患の猫のために)

https://www.royalcanin.com/jp/cats/products/vet-products/feline-gastrointestinal-high-energy-dry-cat-food 

肉類(鶏、七面鳥)、米、動物性油脂、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、植物性繊維、コーングルテン、加水分解レバー(鶏、七面鳥)、卵パウダー、ビートパルプ、魚油(EPA/DHA源)、大豆油、酵母および酵母エキス、サイリウム、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン)、ゼオライト、ミネラル類(Cl、K、Na、Ca、P、Mg、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、C、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、B2、B6、B1、葉酸、ビオチン、B12)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)

②ロイヤルカナン 消化器サポート 可溶性繊維 ドライ(便秘の猫のために)

https://www.royalcanin.com/jp/cats/products/vet-products/fibre-response-fr-31 

米、肉類(鶏、七面鳥)、コーン、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、動物性油脂、コーングルテン、サイリウム、加水分解レバー(鶏、七面鳥)、チコリー、卵パウダー、魚油(EPA/DHA源)、大豆油、酵母および酵母エキス、フラクトオリゴ糖、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン、L-リジン)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)、ミネラル類(Cl、K、Ca、Na、P、Zn、Mn、Fe、Cu、I 、Se)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、C、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、B2、B6、B1、葉酸、ビオチン、B12)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)

③ロイヤルカナン アミノペプチド フォーミュラ ドライ

(食物アレルギーによる皮膚症状・消化器症状を呈する猫のために)https://www.royalcanin.com/jp/cats/products/vet-products/anallergenic-cat-dry

コーンスターチ、加水分解フェザーミール(アミノ酸およびオリゴペプチド)、コプラ油、大豆油、植物性繊維、チコリー、動物性油脂、魚油、フラクトオリゴ糖、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、L-リジン、タウリン、L-トリプトファン、L-ヒスチジン)、ゼオライト、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)、ミネラル類(Ca、P、K、Mg、Na、Zn、Mn、Cu、Fe、Se、Cl、I)、ビタミン類(コリン、E、C、ナイアシン、B12、パントテン酸カルシウム、ビオチン、B6、B2、B1、A、葉酸、D3)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス)

④ロイヤルカナン 低分子プロテイン

 (食物アレルギーによる皮膚症状・消化器症状を呈する猫のために)
https://www.royalcanin.com/jp/cats/products/vet-products/hypoallergenic-dr-25

米、加水分解大豆タンパク(消化率90%以上)、動物性油脂、植物性繊維、ビートパルプ、大豆油、加水分解レバー(鶏、七面鳥)、魚油(ω3系不飽和脂肪酸(EPA/DHA)源)、フラクトオリゴ糖、ルリチシャ油、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン)、ゼオライト、ミネラル類(Cl、K、Ca、Na、P、Zn、Mn、Fe、Mg、Cu、Se、I)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、C、パントテン酸カルシウム、ビオチン、B6、B2、B1、A、葉酸、B12、D3)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)


⑤ヒルズ プリスクリプション・ダイエット(特別療法食) 〈猫用〉 腸内バイオーム ドライ


https://www.hills.co.jp/cat-food/pd-gastrointestinal-biome-feline-dry

トリ肉(チキン、ターキー)、コーングルテン、動物性油脂、米、トウモロコシ、小麦、ピーカンナッツ殻パウダー、セルロース、ビートパルプ、チキンエキス、亜麻仁、大麦、オート麦、柑橘類、魚油、植物性油脂、クランベリー、カボチャ、フラクトオリゴ糖、サイリウム、ミネラル類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、イオウ、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)

 

 

 

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